液状シリコンで簡易注型?
シリコンのことは詳しくないけど、とにかく普通のシリコンで試作を依頼したい、と思っている方には、難しい言葉が出てきてよくわからない・・・となったかもしれません。
弊社で約8割を占める試作方法である、「液状シリコンの簡易注型(かんいちゅうけい)」について少し掘り下げてご説明いたします。
普通のシリコンと、液状シリコンの違い
一般的に普通のシリコンと呼ばれているものは、金型で「プレス成型」する時に使用されます。
使用するシリコンは硬化する前の状態が「粘土」のような硬さで、180度〜200度程度の熱と圧力を加えることにより硬化します。
プレス成型は、金型製作のコストはかかりますが、大ロットの量産の場合は製品単価をぐっと抑えることができます。
※分かりやすくするために、一般雑貨で使用しているシリコンを「普通のシリコン」とよんでいます。
普通のシリコン | 成型方法 | 硬化前の状態 | 硬化方法 | 使用するシーン |
プレス成型 | 粘土状 | 180度以上の熱と圧力で硬化 | 大ロットの量産 |
液状シリコンとは、製品として硬化する前の状態が液状のシリコンです。
こちらは常温硬化型(RTV)と呼ばれており、液状で常温にて硬化させることができるため、3Dプリンター型や樹脂型の利用が可能です。
そのため、小ロットの量産や簡易注型や試作で使用されます。
液状シリコン | 成型方法 | 硬化前の状態 | 硬化方法 | 使用するシーン |
3Dプリンター型や樹脂型による簡易注型 | 液状 | 常温で硬化 | 小ロット・試作 |
簡易注型とはどんなこと?量産はどうなる?
液状のものを型に入れて成型することを「注型」(ちゅうけい)、樹脂型などの簡易的な型を使用しての注型を「簡易注型」と言います。
したがって、弊社での液状シリコンの試作の方法は
「液状シリコンの簡易注型」となります。
簡易注型は1つの型の取り数も抑えることができるため、結果的に、安価な樹脂型で、1個からでもコストを抑えた試作を行うことができます。
量産の場合、もちろん液状シリコンでの金型成型も可能ですが、射出成型のため金型製作費が非常に高価になってしまいます。
そのためほとんどのお客様は「液状シリコンの簡易注型」から「プレス成型」へ移行し、量産を開始します。
試作で使用する、液状シリコンのメリットとデメリット
液状シリコンで簡易注型を行う場合の最大のメリットは、安価な樹脂型で1個から成型できるため、非常にコストを抑えて試作ができるということです。
形状、質感ともに、最終仕様にほぼ近い形で出来上がるため、試作品でも「使用感の確認」「客先提案用」「商品撮影用」など、量産品と違わぬ扱いができます。
また、液状シリコンはシリコンゴムの硬さ(伸縮)の調整ができるため、硬いものから少し柔らかいものまで、何パターンのトライをして硬さの決定ができます。
色味の調整も、試作で微調整を行うことで、シリコンゴム独特の発色の確認を行い、量産の参考サンプルとして提出することもできます。
ただ、硬さや色味や細かい物性などは、液状シリコンと量産用シリコンでは材料そのものが違いますので注意が必要です。
デメリットとしては、量産時プレス成型で使用するシリコンよりも液状シリコンは材料費が高く、1個の製品単価が高くなってしまうことです。
試作で液状シリコンを使用すればコストを抑えられるって言っていたのに、矛盾している!と思った方・・・・。
実は、試作でのコストで多くを占めるものは型のコストです。型の材質が金型なのか、樹脂型なのかでは、コストに大きな違いがあります。
型のコストを抑えつつ、1個から成型できるが、1個の製品単価は高くなる。
これが液状シリコンの簡易注型での最大のメリットでもありデメリットでもあるところです。
ただ、全体的なコストで比べれば、液状シリコンの簡易注型での試作は、金型を使用しての試作の1/3〜1/4のコストで行えますので、コスト面ではメリットの方が大きいと思います。
使用する液状シリコンの特徴
弊社で試作で使用するシリコンは、アメリカのSmooth-ON社の液状シリコンを主に使用しています。とてもクリエイティビティーにあふれたシリコンで、特殊メイクや造形、アート作品として使用されることが多い液状シリコンです。
物性もとても高く、シリコンの型取りとしてももちろんですが、試作で使用する場合に再現できる質感が多いのも、Smooth-ON社の液状シリコンの特徴です。
アメリカのFDA規格適合の材料もふくめ、弊社にて全て日本の食品衛生法適合試験を行っておりますので、食品に関わるシーンで使う製品の試作でも、安心してご使用いただけます。
皮膚の感触に近いシリコンや、とても柔らかいゲル状のシリコンの取り扱いもあります。
質感の重要な造形物の場合は、1個から質感重視で制作することができます。
色味、柔らかさを追求することで、体の一部の複製でもリアルな質感を再現でき、好評をいただいております。
(※医療規格対応品ではありません)